第三次世界大戦?第五次中東戦争?【国際】
どうも皆さん、さんそんです。
シリア問題で荒れる中東情勢ですが、別の所から火があがりそうな気配です。
昨日の夕刊フジの記事です。
一面にでかでかと「第三次世界大戦」と書かれているのでびっくりしました。
記事を読んでいただくと分かるのですが、時系列に沿って説明すると
1月2日
サウジアラビア内務省、国際テロ組織アルカイダのメンバーや、2011~12年の反政府抗議行動を主導したとされるサウジアラビアのイスラム教シーア派指導者ニムル師など47人を処刑したと発表
同日、イラン首都テヘランにてニムル師の処刑に反発する群衆がサウジアラビア在イラン大使館を襲撃。
1月3日
サウジアラビア政府、イランとの国交断絶を発表。
1月4日
サウジアラビアと同じイスラム教スンニ派の王族が支配しているバーレーンと、スンニ派が多数派のスーダンが国交断絶を発表。UAE(アラブ首長国連邦)は外交関係の格下げを発表。
1月5日
クウェート政府、駐イラン大使を呼び戻す。
という流れとなっています。
現在の中東情勢を整理するためにグーグルマップを使って下記のようにまとめてみました。
赤丸が今回イランとの国交断絶または外交関係の格下げを発表した国です。スーダンを除き、ペルシャ湾を挟んで睨み合いという構造が見て取れます。
オレンジのラインが引いてある国はアラブ連盟というアラブ世界の政治的地域協力機構の加盟国で、地図外ではリビア、モロッコ、チュニジア、アルジェリア、モーリタニア、ソマリア、ジブチ、コモロが加盟しています。
青丸がサウジ大使館襲撃のあったイランの首都テヘランです。
緑のエリアはISの支配地域とされる場所です。
このように、今回、対イランの外交行動を起こした国は全てアラブ国家と分かります。
対するイランの主要民族はペルシャ人で主要言語もペルシャ語です。
サウジアラビアとイランという比較で見れば、イスラム教のスンニ派とシーア派という宗派の違いがあります。
アラブvs非アラブという構図は、日本にオイルショックをもたらした数度の中東戦争を想起させる構図となっているのですが、さて、シリア問題に続くこの中東情勢の変化は日本にどのように影響するのでしょうか。
"ホルムズ海峡"
皆さんもニュースなどで聞いたことがあるフレーズではないでしょうか。
上の地図の紫丸の場所がホルムズ海峡と呼ばれる場所です。
この場所が話題になったのは半年前の安全保障法制の審議の時です。
政府が集団的自衛権の行使の事例の一つとして挙げたのが
ホルムズ海峡が機雷で封鎖された際の掃海活動
これに対して民主党の枝野幹事長や後藤議員は次のように反論しました。
また、日本共産党の志位和夫委員長はTwitterにて
と述べていました。
しかし、今回のサウジ・イランの対立により、この"ホルムズ海峡封鎖"が現実味を帯びてきています。
では、ホルムズ海峡封鎖がどれほど日本に深刻な打撃を与えるのかを考えていきましょう。
次のグラフを御覧ください。
上は日本への原油の輸入元を示すグラフです。
見て分かる通り、日本の最大の原油輸入国はサウジアラビア。ついでUAE、カタールとTOP3全てがペルシャ湾沿岸の国家です。
次いでこちらのグラフは先ほどのグラフを円グラフにしたものです。
このグラフから分かるように、日本の原油の中東依存度は83.1%、これらのほとんどがホルムズ海峡を通過します。
ホルムズ海峡封鎖によってこれらの原油が止まってしまうことは、オイルショックのそれとは比較にならない深刻な打撃を日本にもたらすこととなります。
さらにこちらは日本のLNG(液化天然ガス)の地域別輸入比率です。
カタール、UAEは前述の通りペルシャ湾沿岸国家、オマーンはアラビア海に面したホルムズ海峡の外側の国で、オマーン湾を挟んでイランと国境を接している国です。
天然ガスの中東依存度はこのグラフからは約30%と読み取ることができます。
LNGは現在の発電の約43%の燃料源であり、原発が川内のみしか再稼働していない現状で中東からのLNGの供給が絶たれると、単純計算で約13%の電源喪失となります。
これらの資料はこちらから拝借しました。ありがとうございます。
日本の原油輸入元をグラフ化してみる(石油統計版)(2015年)(最新)
世界中からお世話になってます…日本の石油・石炭・LNGの輸入元をグラフ化してみる(2015年)(最新)
今回のサウジ・イランの対立がどれほど日本に影響するのかお分かりいただけたでしょうか。
今回の中東情勢の変化は私達の生活に関係のないものではなく、むしろ生活を一変させかねないことだということを深く考えてみてください。
半年後には参議院選挙が行われますが、「自分は関係ない」「自分が投票したところで変わらない」と考えるのは間違いです。
投票しようとしまいと、選挙の結果から生じる
利益・不利益は皆で享受することになります。
選挙の争点の一つに安保法制も挙がってくるでしょう。
中東で有事があった際に日本はどのように動くべきだと思うのか、一度考えてみてはどうでしょうか。
平成28年1月7日
さんそん
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余談
自分の見立てではありますが、万が一サウジとイランの間で戦争が勃発することになったとしても第三次世界大戦ということにはならないでしょう。
ここからは軍事的な話になるのですが、サウジとイランだけで見れば人口や兵力差はあるものの、装備の近代化は圧倒的にサウジのほうが進んでおり、また、イランのバックにはロシア・北朝鮮といるものの、サウジのバックにはアラブ諸国にアメリカとイランがサウジに勝る数滴優位すら揺らぐ状況です。
また、夕刊フジでは見出しに「空軍同士の衝突で開戦か」とありますが、
イラン空軍の主力戦闘機は第4世代型の
「F-14 トムキャット」や「MiG-29 ラストーチェカ」
対するサウジアラビア空軍の主力戦闘機は第4世代型戦闘機の改良型である第4.5世代型の
「F-15S/SA ストライクイーグル」や「ユーロファイター タイフーン」
と機体性能では圧倒しています。
(F-15SAはネット上のスペックでは空自のF-15Jよりも高性能)
2013年にイラン空軍は「ガーヘル313」という国産ステルス戦闘機を発表しましたが、「飛べるものは作れていないのでは?」との声もありますし、何より調達数から戦力化できるのか不透明です。
ただ、先日から話題に上がっている北朝鮮の水爆実験。
これがもし本当なら、この技術がイランに流れ、冷戦さながらのチキンレースとなる可能性もあります。
以上、余談でした!
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