川内と高浜 裁判長の“悪魔の証明”の有無【エネルギー】

どうも皆さん、さんそんです。

大変ご無沙汰しております。約一ヶ月、更新が無くて申し訳ありませんでした。

まぁ、カープが開幕前後、就活、一人旅で事故などなど…で忙しく(笑)

これからは前のように復帰して書いてまいりますので、よろしくお願いします。



今日は、私が最も関心を持っていると言っても過言ではない“発電”に関してです。


地裁によって異なる“新基準”の見方

昨年再稼働した鹿児島県川内原発1、2号機の運転差し止めを求める裁判が行われ、昨日6日午前、差し止め仮処分を認めない判決が福岡高裁宮城支部で下された。


”原発の差し止め仮処分”と聞くと、先月の福井県高浜原発3、4号機の運転差し止めを求める仮処分が大津地裁で下され、一度再稼働した原発が再度運転差し止めになったことが記憶に新しい。



なぜ、同じ仮処分申請が一方では通り、一方では通らないのだろうか。



これは

原子力規制委員会の新基準を裁判長がどう見るか

という一点に集約できると私は思う。


もちろん、それぞれの原発によって些細な要因は異なる。しかし、川内・高浜両原発に対する判決文には原子力規制委員会の新基準をどう評価したかが大きな分かれ目となっている。



簡単に言えば、川内原発の裁判では

新基準にクリアしているので安全と認めます

高浜原発の裁判では

新基準にクリアしていてもリスクが無いわけではないので安全とは認められない

ということだ。


下記に川内原発に関する判決要旨を抜粋する。昨日の裁判の判決文がネット上に見当たらないため、同じように再稼働差し止めを認めないととした平成26年の鹿児島地裁の判決文を引用する。


平成26年 第36号 川内原発稼働等差止仮処分申立事件 決定要旨
上記の原子力委員会による新規性基準への適合性判断は、専門的知見等を有する原子力規制委員会により、債務者からの多数回に渡るヒアリングや、一般からの意見募集及びそこで提出された意見の健闘を経て示されたものであり、その調査審議は厳格かつ詳細に行われたものと評価できるから、福島第一原発における事故の経験等をも考慮した最新の科学的知見に照らしても、不合理な点は認められないというべきである。

PDF


一方で、高浜原発の運転差し止めを下した大津地裁は原子力規制委員会の新基準に対して

新規性基準では、次のとおり、福島第一原子力発電所事故で得られた教訓の多くが取り入れられておらず、過酷事故対策が不十分である。このような対策では、本件各原発の可動上の安全性は確保されない。

と一刀両断している。

PDF


原告の原発反対派や差し止め処分をした裁判長の求める“ゼロリスク”

大津地裁が今回差し止めを認める根拠として引用した“伊方原発の設置許可を問うた最高裁判決”では「安全性の立証責任は原発側にある」としており、高浜では“新基準では安全性の立証に不合理がある”とされ、一方、川内や大津地裁の前に高浜再稼働を容認した福井地裁では“社会通念上無視できる程度にまで管理されている”として安全性が立証されていると判断した。

伊方原発訴訟判例


なぜ、ここまで差が出るのか。

それは裁判長によって“安全性の立証”のハードルが違うからだと私は思う。



もともと、原発の運転に関する訴訟に関しては、安全性の審査が「極めて高度な専門技術的判断を伴うもの」である以上、専門家の意見に基づいて行われた行政処分に看過し難い過誤・欠落がある場合に限って違法と解すべきだとしている。これは、伊方原発訴訟の判決要旨にも記されている。



だが、大津地裁や原告である原発反対派は安全性の審査の基準を疑っている。

これは原発が“現時点の科学技術でできる最大限の管理されている”ことではなく“100%の安全が保証されている”ことを立証しろと言っているに等しい。



悪魔の証明

皆さんはこの言葉を聞いたことがあるだろうか。

“していないこと”や“存在していないこと”を証明するのは不可能に近いため、「悪魔がいないことを証明するのと同じくらい難しい」という比喩で用いられる。



大津地裁や原告は最新の科学技術を否定した上で、“危険なことなど存在しない”ことを関西電力に立証しろと言っている。これはまさに“悪魔の証明”だ。


一方、福井地裁や福岡高裁は世界一厳しく、最新の科学技術でもって構成されている新基準による審査に不合理はないとした。

これは「最新の科学技術で最大限管理されてる」ことを評価してのことだ。



そもそも、100%安全を求めるのであれば、日本に100%安全な発電など存在しないではないか。


太陽光発電のパネルが台風で飛ぶ危険は0だと言えるのか。

風力発電のブレードの高周波で被害が及ぶことはないと言えるのか。

水力発電のダムが大雨で決壊することはないと言えるのか。

火力発電所で事故が起こることはないと言い切れるのか。

地熱発電の影響で火山活動が活発化や環境への悪影響はないと言い切れるのか。



発電はどの方法であれ多少のリスクはある。
原発だけ“ゼロリスク”を求める姿勢というのは如何なものだろうか。



平成28年4月7日

さんそん


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